これが、ちい川だ!
ただ残念ながら、「ちいかわ」ではなく、「ちいがわ」と読むのです。
撮影のついでに、ちい川にあるちいかわ要素を探してみましょう。ハチワレのぬい(私物)と一緒に。たとえ点々がついていたって、ここはちいかわの数少ない聖地と言っても過言ではありません。過言ではないということにします。
冒頭の写真で私が指さしている「Chii River」標識のところで、ちい川は西大谷川に注ぎます。西大谷川は弁財天川に注ぎ、弁財天川は遠州灘(すなわち太平洋)に注ぎます。
上記の三つの川のうち、ウィキペディアに記事があるのは、ちい川のみです(執筆当時)。なんと、ちいかわパワーによってウィキペディアの記事存続基準をクリアしているのです。なお、これは相当おおづかみで乱暴な説明です。悪しからず。
ちい川の中流
では、ちい川をさかのぼっていきます。
まず気付くのは、水が一滴も流れていないことです。この冬は雨が少なく、静岡県内でも取水制限が行われました。なお、この記事の画像は12月に撮影しました。空気は冷えていました。
しめってる、または、生乾きか? ——— × (冬なので)
キンと冷えているか?——— 〇 (冬なので)
アニメちいかわ オープニングテーマ『ひとりごつ』より要約
未来はちいかわに登場します。合唱曲Blieveの一節「I believe in future」がどういう意味なのか、インターネットを使って翻訳する回があるのです。ハチワレが読み上げます。「未来を信じている」。けだし名シーンです。
そう思いながら地図を見たり、辺りを見回したり、大字が「洋望台」であることを考慮したりすると、ちい川のまわりが宅地開発されたのは、どうやら最近のようでです。よって……
と判定してよいでしょう。
その未来橋から上流を見ると……
起点
もう起点に来てしまいました。それもそのはず、ちい川の長さは650メートルしかありません。最下流からものの数分で終わってしまいます。
どう見ても川は続いています。冒頭で挙げたニコニコ大百科では、事実上の総延長は1.5キロメートルほどか、と推測されています。
ニコニコ大百科と、その出典であるe-地図かけがわによると、起点よりももっと上流にある川状の地形は、「釜ヶ谷」や「東沢」などの名前がついているそうです。
アニメちいかわのOPテーマ、「ひとりごつ」には、「キンと冷えてる♪ 缶カンが♪」という歌詞があります。で、ちい川に缶は捨てられていませんでした。また、ペットボトルのフタでピンチを脱するエピソードが、ちいかわにはあります。で、ちい川にはペットボトルも捨てられていませんでした。
何を期待しているのだ私は!
起点からさらに上流へ
ちいかわには、うぐいすそのものは出てきません。うぐいす餡なら登場します。普通のドラ焼きかと思ったらうぐいす餡で、なぜだかおかしくて、友達そろって笑い転げる回です。私が結構好きな回です。
さて、鶯橋よりも上流となると、いよいよ人家がなくなります。ただ、山の中を流れる川という感じは正直しません。砂防堰堤がひたすら連続しているのです。水がないのも相まって、いやに人工的な印象です。
これまでちいかわ要素をどうにかこうにか引き出してきましたが、流石に砂防は登場しません。
この橋には欄干どころか名前もないようです。未来橋のような手は使えません。とうとうちいかわと関連付けるのが苦しくなってきました。もしも昨日の夜、前乗りして変な足跡を付けておけば、「きのう晩につけた♪ 足ぃ跡ぉ~♪」と言えたのに。
などと考えながらさかのぼって行くと、道はどんどん山の奥へ奥へと分け入っていきます。また別の橋が見えてきました。名前でまたこじつけましょう。
そう、ちい川の起点よりもさらに上流の部分は、「釜ヶ谷」と呼ばれているのです。そこにかかる橋だから、上釜ヶ谷橋。いかなハチワレとはいえ、「かみかまがや!」というセリフはありません。
この橋を境に、道と河道は離れます。これ以上のぼっても、いよいよ何もありません……
……仕方がありません。ここであらかじめ準備しておいた切り札を投入します。
『ひとりごつ』
ちいかわ要素が見つからなかった時のために、焼けたパンにバターをぬりぬりした物をあらかじめ買っておいたのです! これをちい川で食べましょう!
……と思って、道端で袋を開けようとしたとき、背後から「こんにちは」と声をかけられました。振り返ると、ジャージ姿の老齢の男女二人が、私を見ています。
わたしがなんとか「……チワ……」と返すと、二人は顔を見合わせて、そして走りさっていきました。どうやら、ジョギング中の夫婦だったようです。
見知らぬ緑髪のVTuberを不審に思って、声をかけたのでしょうか。あるいは、「河道にごみ袋を捨てたのは、この緑髪のVTuberだな?」と勘違いさせてしまったのでしょうか。私がパンの袋をガサゴソやってるもんだから。
天地神明に誓って、ゴミはポイ捨てしませんでした。
そして、これは帰宅後にわかったことなのですが……バタースコッチパンはバターを生地に練り込んで、その後で焼くパンなのです。ですから、歌と順序が逆です。
ひとまず家に帰って、画像をアップロードすることにします。
ウィキペディアとニコニコ大百科の関係
帰宅後、撮った画像をウィキメディアコモンズにアップロードして、ウィキペディアの記事(小川 (静岡県))に現地画像を追加しました。画像の面では、これでニコニコ大百科にある記事(小川(ちいがわ))と肩を並べたことになります。一方で、内容の面では、ウィキペディアの方が後れを取っているのです。具体的には、文の量でも情報の量でもウィキペディアの方が劣っているのです。なぜでしょうか。
ひとことで言えば、ウィキペディアの方がルールが厳しいから、でしょう。
例えば、ニコニコ大百科ではちい川の名前の由来が推測されています。ちい川にほど近い横須賀という町では、祢里(ネリ)という二輪の山車が春ごとに町中を引き廻されます。そして、こども用の祢里もあります。「小祢里」と書いて、「ちいねり」と読むのです! ここいら一帯ではおそらく、「小」を「お」と読むよりも、「ちい」と読む方が一般的なのかもしれません。
ただし、上記の考察内容は、ニコニコ大百科を書いた人がやった考察です。学術論文にもニュースサイトにも載っていません。よって、ウィキペディアに書くことはできません。執筆者の調査や分析を書いたら、それはルール違反なのです。詳しくは、「独自研究」で検索してみてください。
同じく、「ちいがわ」と濁って読むことについても、ニコニコ大百科には考察が書いてあります。執筆者が様々な根拠をもとに推測したことを、ニコニコ大百科は大目に見るのです。そしてウィキペディアには「独自研究は載せない」というルールがあります。出典がない限り書けません。
ちい川に関する出典は少ないのです。ですから、ちい川と相性がいいのはニコニコ大百科です。
ではウィキペディアンはニコニコ大百科をうらやむのでしょうか? そういう話でもないのです。出典がしっかり確保できる事物なら、今度はウィキペディアに軍配が上がるわけです。ニコニコ大百科よりもウィキペディアの方が良くかけている事物だって、たくさんあるのです。
みんな得意不得意があって、それを補い合っています。
この記事は読者投稿でお送りいただいた記事です。
編集部より寸評
行動力が記事の面白さに直結している、いい記事だと思いました。面白い地名、まずは行ってみてなんぼですよね。
「ちい川にあるちい川要素を調べる」というのはオーソドックスな展開だと思いますが、この「ちい川要素」をどう定義するかって難しいですよね。ここが主観だとブレブレで、言ってるだけじゃん的な印象になりがちなのですが、この記事は多少強引ながらもあくまで資料に基づいて判定しているのが納得感確保のポイントだと思いました。(編集部・石川)
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